今のこの状況をどう説明しようか、3人全員がしっかりと悩んでいた

「……えっと…あの」

きょろきょろしたあと、改めて彼ら3人に視線を向けた彼女は
どう声をかけて良いかわからない、ということを全身で表している


「俺はジャン・ハボック、で…」
「エドワード・エルリック」
「アルフォンス・エルリックといいます」


とりあえず3人がは順番に自分の名前を言って行った
少し顔をしかめひそやかにため息をこぼしたあと
うつむいて自分の状況をかみ締めるようにぎゅっとシーツを握ってから
ゆっくりと顔をあげて、口を開く彼女


「藤本といいます。
おそらく、ここでは・フジモトって名乗るべき…だとおもいます」
「ってことは、ファーストネームがカってことか?」
「はい。あたしの国では、えーっと…」
「ファミリーネームが先?」
「そういうことです。…あたしの国っていうか…」

国、というあたりですでに彼女は言葉を濁らせ出している。
まるで、もう自分が置かれた状況が分かっているかのようだ
そのうえ、この状況をすでに受け入れているように感じる
エドとそうたいして変わらなく見える少女なのに

「…国って言い方もおかしいですね、多分。平行世界。って奴だと思います」
「平行世界?」

淡々と言葉を続けていく彼女
本当にあきらめきっているのだろうか

「ココじゃない世界。どこか似てるけどどこかちがう、そんな世界のことです」
「……」
「あたしはこの世界の人間じゃないです」

やけにキッパリと言い放つ彼女
そこで初めてエドが話に割り込んだ

「じゃあ、なんで言葉は通じてるんだよ」
「…あ」

彼女も改めて言われて気付いたのだろう、エドの方に視線を向けている
簡単に確かめる方法、と思ったのだろう
エドが紙を取り出して、自分の名前を書いて、彼女に見せた

「読める?」
「名前…ですか?」
「あたり。言葉違わないのか?」
「違います。あたしの国の言葉じゃない」
「…じゃあなんでわかるんだよ」

彼女はエドに頼みペンを貸してもらいなにやら二つの言葉を書いた
一番上はさっき言っていた彼女の名前だ。
だが、下の文は読むことすら出来ない

「あたしの世界には国の数に近いくらい言葉があって、ココで使われてる言葉も
あたしの世界には存在してるんです、だから多分一番上は読めてると思うんですけど…」
「確かに読める。名前だろ?」
「そう。でも下のもあたしの名前なんです」
「その下のが君の国の言葉って事か?」
「はい」

言いよどむこともなく、ただキッパリと言い放つ彼女
3人が何も言えなくなってしまって自分の格好を改めてみた
周りを見渡して、少しいいづらそうに3人に向かって口を開いた

「あの………私の、荷物とかありましたか?」

荷物…、といわれてすぐに思い当たったのは、彼女の着ていた服とはちがう
肩にかけられていた見たこともない少し硬い黒い袋と
腰に巻かれていた、ショルダーっぽいもののことだ。
二つを持ち上げて彼女の膝の上に置いてやる
彼女は荷物の中身を探って三つ四つ荷物を取り出し大きい方に移し変え
そして、ハボックの方にショルダーらしきものを差し出した

「……これ、処分することって可能ですか?」
「あ、あぁ…そりゃ可能だけどさ…いいのか?」
「この世界では役に立たないし、あってはいけないものだろうから…
今残してるものもきっとダメなんだろうけど…私にとって捨てられないものなんです
それに、私は戻れないから。思い出として、ってところです」
「……お前」

大切そうに大きい方に手を這わせている彼女の表情はさっきまでとは少し違っていた
はかない、という言葉が一番だろうと思う

「…えーっと…なんてよんだらいい?」
、でいいですよ」
「…ちなみにいくつだ?」
「今年で19です、今はまだ18だけど」
「俺の6つ上?!」

エドの言葉で今まで流れていたちょっと、不快な空気が少し緩んだ
彼女がくすっと笑い、エドワードの方に視線を向けている

「えーっと、エドワード君、は12歳?」
「そうだよ、…エドでいいから」
「あ、僕もアルでいいですから、ちなみに僕は11歳です」
「じゃあ、エド、のほうがお兄ちゃんなんだね」

まったく驚きもせずにさらっとそう言い放った
(エド、という部分でちょっと不自然さがあったが
それはエド、と呼ぶのが最初だからなので誰も気にしなかった)彼女に
3人はちょっと不思議な感覚を覚えるが、不確か過ぎて気にしていなかった
ハボックの方に視線を戻した彼女は、問いかけを返した

「えーっと…」
「俺はハボックでもジャンでもどっちでもいいぞ。ちなみに俺は22な」
「じゃあハボックさん、で」
「ん、で、なんだ?」
「…聞こうと思ったこと、言われちゃったんですけど」

ちょっと苦笑気味に彼女が言ったのですぐにその意味を読み取る3人
エド、アルの年が出たのだから、ハボックの年も気になるのも普通だろう

「あぁ、俺の年ね」
「そういうことです」

凄く楽しげな表情で3人をまたゆっくりと見つめている
ある程度のことも話の流れで聞けたところで
ハボックは改めて自分の置かれていた状況に気付いた

「やっべ…」
「あ、大佐の命令。」
「俺連絡してくるわ」
「……そうだな」

大慌てで病室を出てまた連絡をし始めるハボック。
直通で大佐の執務室へと繋がる
すでに電話交換手から聞いていたのだろう
名乗ることさえせずに大佐が電話口から言葉を発してきた

『例の子はどうだ?』
「…目を覚ましました。報告は車を返しにそちらにもどりますのでその時に」
『いや、私もそちらに向かおう、どうせここからそんなに遠くない』
「……大佐」
『中尉も一緒だ』
「…わかりました」

まったくどういう風の吹き回しだろう
中尉もよくご存知なはずの彼のことに、意外とすんなりOKをだしているのだ
…あくまで予測で、もしかしたら司令部でいつもの状況におちいっていたのかもしれないが

ため息混じりに部屋に戻ると、アルとエドが彼女と雑談を続けていた
いろんなことを話していたのだろう、もう、彼女は敬語ではないし
いつのまにやらアルは、彼女を姉さん、なんて呼んでいる

「…いつの間にそんな仲良くなったんだ」
「話してたらいつのまにか。ハボックさん、早かったですね」

表情はわからないが、見ることができるなら満面の笑みだっただろう
そう思いたくなるほどアルフォンスの声は弾んでいた
それに対して軽く反応を返した後エドに向かって言い放つハボック

「大佐がこっち来るってよ」
「……げ」
「あの…さっきから話題に出てる…たいさ、さんっていうのは…?」

大佐、という言葉の意味がよく理解できていないらしく
かなりいぶかしげな表情を浮かべている彼女をみて
ハボックはある考えにたどり着く

…ちゃんの国に軍隊って、なかったのか?」
「…はい。あたしが生まれる…4、50年前からずっと」

ゆっくりと考えるように言葉をつむいでいく彼女
改めて突きつけられた現実につらさを感じているのだろう
それで、大佐、という意味も理解したのだろう、と思える
つらそうな彼女の表情を見てエドが口を挟んできた

「大丈夫だって、姉、あの無能になんか手出させねぇから」

きっぱりと言い放つエドワード
それであのエドがなついてしまっていることを理解してしまったハボックは言葉を失った

「そうそう、大佐さんだろうと誰だろうと、姉さんに変なことしようするやつは近づけないから」

アルフォンスまでこんな発言をしてしまう始末
俺が離れてた間にいったい何があったんだ…とハボックが思うのも致し方ないことであろう

「ハボックさん?」

ハボックが言葉を失っていたのがわかったのか、彼女が不安げに問いかける
あわてて意識を引きずり戻したハボックは、できるだけ冷静に答えた

「なんだ?」
「…なんか変な感じだったから。大丈夫ですか?」
「あぁ、きにしないでいいから」

まさかエドとアルがここまでなつくと思っていなかったのだ
正直な話、この様子では今の自分によりもアルフォンス、特にエドはなついてしまっている

本当にいったいこの数分の間に何があったんだ…、とハボックは思わずにはいられなかった

NEXT


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管理人言い訳コーナー

やっとが話しました。
お気づきだと思いますが、の元いた世界は、日本に近いです。
二つのある設定を除いたら、後はまったく一緒、という設定にしています。
その設定につきましてはお話の中でえがいていきたいと思っておりますので…。

次のお話で大佐と中尉登場です。今回のお話で階級がオフィシャルと違うのはハボックさん
そんでもってフュリーさんのお二人のみにしております