刹那に起こった出来事に呆然としていた3人だったが
真っ先に正気に返ったアルがまずその少女に近づいていく
彼女に意識はなく、目を閉じたままの状態だった
病院に運ぶべきだ、と全員が思った
「…ハボックさん、この近くに病院ってあります?」
「ある。でも…軍の病院だ」
「…運んで大丈夫かよ」
けれど、3人は正直、どうしていいかわからなくなっている
服装が、見たこともない服装なのだ。
「…とりあえず、コレかぶせろ。それで運ぶしかないだろ。
俺らが世話になってる病院があるからそこ行こう」
「…話が通じる病院なわけか?」
「あぁ」
ハボックが上着を脱いで、少女にかぶせ
アルに抱き上げるように促す
ここに人の目がないことは、全員が承知のことだった
車にたどり着くと、助手席にエドが乗り込み
少女を抱いたままアルが後部座席に乗り込んだ
たどり着いた病院に入り、そのまま少女は入院となった
少女の体は、脳震盪だけですんでいたそうだ。
あの樹の上から落ちて、それだけですんだ理由は3人にとって考えるまでも無い
包んでいた光のおかげなのだろう、ということ。
だが、打ち所が悪かったのか、タイミングなのか、彼女は目を覚まさない
「エド、アル、どうする?」
「とりあえず目覚ますまで傍にいるよ。宿の引き払いしなきゃな…」
「じゃあ兄さん行ってきて?僕ついてるよ」
「…そうだな」
「その前に…うちの司令官に連絡してくる、それがすんだら送ってやるよ」
うちの司令官、と、ハボックの口から出てきた途端、エドが極端な反応を示す
それは、付き合いがそれなりにある、ハボックや
弟であるアルなどにしかわからない反応であったが
「……ココで待ってっから」
「へいへい」
ハボックはその後の反応など分かりきってるかのような態度で病室を出て行った
内心ため息をこぼしながらも、目の前で目を閉じたままの少女を改めて観察する、アル。
「…兄さん」
「あれは練成じゃない」
「だよね」
その事に関しては、アルも同意見なのだろう、さらっと返答を返してくる
だが、釈然としないのは二人揃っての意見だ
「…信じない、って言いたいところだけど…」
「兄さんも僕もハボック准尉も見ちゃってるもんね」
彼等2人は科学者だ。
あんな非科学的なものを信じたくない気持ちは誰よりも強いだろう。
けれど、それは確かに自分達の目の前で起こり、なおかつ、形をなして目の前にいるのだ。
お互いに次の句を告げられずにいると、ハボックが連絡を終えて帰ってきた
なんともいえない表情を浮かべて、口を開く
「連絡ついたぞ。一言だった」
「…なんだって?」
「目覚めたら連絡をよこせ」
「…………」
それはつまり、監視をしていろ、という言葉を含んでいるわけで
その辺はやはり、司令官、というだけのことはあるし
大方…“少女”というところにひっかかったのだろう
あの司令官の悪癖にえらい目にあっている一人なのだ、彼、ハボックは。
「とりあえず宿だろ。隣の病室貸してくれるらしいからお前らは隣にいるといい」
「あぁ、わりいな。准尉」
「じゃ、宿行くか」
どうせなら、ありがとうといえ、といわんばかりにがしがし頭をなでているハボック
彼の優しさもまた、アルとエドには心地よいものだった
彼等2人が出て行ったあとアルは、まだ目を覚まさない少女を、ベットの隣で眺めていた
数時間もしないうちに戻ってきた二人は、かすかに期待を寄せていたのだが
結局、彼女はその日のうちに目覚めることはなく
半ば強引に、睡眠をとるようにハボック、エドに言い聞かせ
眠る必要、というよりは眠ることが出来ないアルがずっと彼女を眺めていた
「…おはよ」
「おはよう、兄さん」
「まだ、目、さまさねぇんだな」
「うん、残念ながらね。息はしてるし、怪我もほとんど無かったんだし寝てるだけだと思うんだけど…」
寝ぼけ気味のハボックも混ざって、朝食をとりながら彼女を眺めていた
昨日の大佐の一言に目覚めるまで仕事に来るな、という意味も含まれている気がして
少々気が引けていたのだが、行かなければ中尉の怒りに触れる気がしていた
「…じゃ、俺一度とりあえず車だけ…」
「あ…」
食事が終わってしばらくたったところでハボックがそう言葉を繋ぎだした瞬間だった
ゆっくりと、少女の目が開き、一度布団にもぐってもぞもぞしたあと身体を起こしたのだ
そして、彼等3人を見て固まった
黒い髪や彼女全体に合った、瞳の色は、茶色
しかしそれは右目だけ。
左目は金にかなり近い、薄い色素の色だった。
― 偶然にみせかけられた必然は
ひそやかに始まりを見せ… ―
+NEXT+
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管理人の言い訳コーナー。
彼女の雰囲気の説明されましたね。
ちなみに、エドよりは背が高い…設定です。
まだ寝転がってる状態だからエドも気づいてません。
大佐が初登場でした。電話だけ!(笑)
質問・突っ込みは、拍手でよろしくお願いします。