翌日。
ちょうど良く申請されていた休暇(しかも有給)を起きた瞬間に秋都から告げられた
席官メンバーは抱えていた不安を消すと同時に、さりげない計画性に内心びっくりしながらも
全員で遅い朝食をとり、自分たちが寝てる間に作られたという下に伸びている入り口を覗き込んだ
「とりあえず、隊長は自分の仕事をしに行ってるから
俺たちは、地下の練習場にいこう。とりあえず、体慣らさないとな」
「ここ…いつのまにできたんですか?」
「…あー、実はな。隊長がここ使うって言い出すのも総隊長見抜いてたらしくって」
「…6年前から作られてた」
「そういうことだ。ちなみに俺たち全員が霊力開放したら笑えないから結界三重前後で貼ってあるし」
「…マジですか」
その言葉に何とかその言葉を搾り出した深弥に、さらりと残酷な発言を返す秋都。
秋都が苦笑を見せた。彼も緊張しているのだ、というのが全員に理解できた。
そこまで緊張する理由が、わからないでいたメンバー。
全員が、それを理解したのがわかったのだろう、秋都が、自嘲気味に呟く
「俺は隊長が、なんであの方々に訓練を頼んだか、今更ながらに思い知ったんだ」
「…なんでですか」
「一番の理由はおそらく…俺たちの経験のなさ。あの人は…79地区の出身だ。俺もなんだかんだいって30番地区なんだよ。」
その言葉に、改めて息をのむ。
改めて彼女の名が、草鹿であった、と思い当たる面々。
「流魂街の60番台以降。…それは、血塗られた場所だ。」
「え…」
「番号が大きくなる毎に、住む面々は、血に飢えたものたちで溢れる。
あの方は…下から二番目にいた。…そして、狛村隊長に拾われたそうだ。
自分の両親を殺した奴らを殺した後に、な。」
「……そういう、世界があるんですか」
「あるんだ。そしてここも…ある意味変わらない。俺たちの話題の中で、虚、というのがあっただろ?」
全員が腰を落ち着けたのを見て、濃い話をする気になった秋都。
向かい合い、頷いたのを確認してから言葉を続ける。
「俺たちが相手にするのは、そんな中でも、俺たちの同胞を食ったり霊力がバカでかかったりする。ギリアンたちだ。」
「…げ、マジっすか?!」
「私、名前しか聞いたことないですよ?!」
「…ちなみに初任務は大虚の巣だぞ。」
はぁ…というため息が、十三隊所属メンバーから漏れる。
「……なんだか、自分たちがどれだけの人間をだましてたのか思い知らされてるんですけど」
「まぁ、エゴだよな。でも…今となってはそれも…だ。隊長の下で零番隊になれているんだから、な」
「そうですね。さて、と、訓練始めません?」
そういって立ち上がった牙狼に、全員が頷く。
それぞれが立ち上がった後、構えを取った。
「君臨者よ!血肉の仮面・万象・羽ばたき・ヒトの名を冠す者よ!灼熱と争乱、海隔て逆巻き南へと歩を進めよ!破道の三十一!赤火砲!」
全員の手のひらからしっかりと火の玉が出て、的に向かっていった。
的が、しっかりと同じように壊れる。
「はぁーーー…」
誰かが入ってきていたことなど、全員が気付いていなかった。
しっかりと閉じられている部屋とはいえ、である。
目の前にいる人間たちにさすがに固まった。
「…いつの間におこしになられたんですか」
「今」
「…しかも、先生方まで全員お越しですか」
「一応最初だしねぇ」
「…本当に霊力の高い子達ばかりだなぁ…。」
「…確かに」
浮竹、京楽、狛村の発言に、全員が苦笑を浮かべる。
自分たちの抑えていない霊力がどれだけ高いのか実感できていなかった自分たちも、さすがに思い知らされた。
今、この人たちは自分の霊力を抑えていない。
それを、見た瞬間に理解したからだ。
「隊長も久しぶりに打ちませんか?赤火砲」
「…遠慮しとく」
「あ、じゃあボクやろうか?」
女物の着物を羽織り、傘を被ったままの黒髪のどこか飄々としている人。
強いのだ、というのは全員が理解していた。
八番隊の所属でもある牙狼がなんとか意識を取り戻せたのか、思わず叫ぶ
「京楽隊長?!」
「いいじゃん、ボクだって久しぶりなんだよ」
「…京楽、お前詠唱覚えてるのか?」
そこに、浮竹が、ざくり、と槍を突き刺した。
はぐっ!と思わず黙った京楽。どうやら覚えていないのだろう。
「…まったく。お前らしいな。」
「だってこのごろ打つ機会なんてないしー。」
「まぁ、確かにそうなんだがな。」
牙狼が両手で打ったのに比べて、彼は片手を差し出したまま、詠唱をはじめた。
「…破道の三十一、赤火砲」
威力が、違う。
それをみて残りのメンバーが固まっていたのに気付いた京楽が、くす、っと笑って全員を見渡した。
「…君たちにもこれくらいは出来るよ。ただ、自分たちの霊力を理解していないだけだ」
「それを教えるために、俺たちが居るんだ。もな」
「……俺も覚えなおそう。教師ぶってる場合じゃないですね」
その言葉に、全員から笑いが起こった。
これからの修行に思いをはせる。
