景色は草鹿の私の家だったところ。
血と、風の舞う、草原。
目の前に現れる、緋の鳥。
…あぁ、やってしまった。
『主、大丈夫か?』
「うん」
『無茶をする方だ、あなたは…』
「わかってる…でも、それもあたしでしょう?」
『…まったく。仕方のない方だ』
その言葉を最後にあたしは、覚醒へと導かれた。
目を覚ました視界に現れたのは、烈さん。
あぁ…最悪のパターン。
「…目が覚めましたか。さん」
小さく、こくり、と頷く
烈さんの表情は、あの、怒りをしっかりと表した笑み。
「霊力の使いすぎですよ。現世では、本来のさんの霊力の十分の一しか使えないのですから」
「…わかってたんだけどねー…使わないわけにいかなかったんだから…」
「だからっていってもな、もうちょっと俺たち頼れ。」
その言葉を継いだのは、一角さんだった。
隣には、日番谷隊長も立っている。
ちょうどどうやらお見舞いに来ていてくれていたらしい。
おとなしくあたしは、頭を下げた。
…正直に、頼っては居なかったのが自分でわかっていた。
頭に血が上っていたのだ。
「……すいませんでした」
「まぁ、お前のおかげでけが人は一人もいねぇ。安心しろ」
「…怒っていたぞ」
日番谷隊長のその言葉が誰を示すのかは、自分でよくわかっていた。
…一匹の地獄蝶があたしに近寄ってきた。
伝令の中身はいわずと知れている。
…総隊長だろう。
「烈さん、もしかして…」
「あなた宛ですよ」
「………うー……」
『おきたらすぐ来い。バイじーちゃん』
「……………今無理。後で行く。」
あたしは。そう呟いて、地獄蝶を放った。
呆然とそれを見送る、二人。
あぁ、そっか。聞こえちゃったのか。
「じーちゃん…って」
「総隊長のことです。相変わらずさんには甘いですね、総隊長」
「…もういい加減いい年なんだけどなぁ…あたしも。いくらこんな体してるとはいえ。」
小さく呟いたとほとんど同時に駆け込んできた人間が居た。
それは、十一番隊副隊長、草鹿やちるであった。
あたしが起き上がっているのを見て、飛びついてくる。
「ちゃんっ!!!!!」
「…や、やちるちゃん?どうしたの?」
「よ、よかったぁ…………!」
びえぇえええん!!!!と思いっきり泣き叫んでいるやちるに後ろから隊長が顔を出した。
すっごく複雑な表情なんですけど…!
苦虫を噛み潰したような表情のままの隊長があたしを小突く。
「まったくだ。1日寝てやがったんだおめぇは」
「うぇ?!」
「き、昨日…ちゃん何度…呼んで…もおきな………か…!」
えぐえぐしながらあたしにしがみついて、言葉をつないでいる。
あたしはそっと、やちるちゃんの頭をなでてやりながらごめんね、ともう一度呟いた。
ため息を付いた隊長を見ると、いつもの表情をして、言い放ってくる
「書類しっかりたまってるからな。さっさと戻って来い。休暇は明後日までだぞ」
「……う。はぁい…」
「おら、やちる、戻るぞ」
「ひっく……うん。早く帰ってきてね?ちゃん」
ごしごし、と目を擦り、じぃっとあたしが頷くまで待っているのがわかって。
しっかりと笑顔で頷いて隊長の背中に乗っかったやちるちゃんを見送った。
嵐が去ったのを見送ってから、改めてあたしの診察をする烈さん。
「もう霊力の方も落ち着いたようですね」
「うん。つけなおさなきゃ……。」
「あぁ…外れてるんですね」
「…霊力使いすぎてたから」
あたしは胸元を肌蹴させ、印を付け直して行く。
『印』は、緋衣草。あたしと左陣さんのつながりの証。
唖然と二人が見ているのに気付き、視線を向けた。
「……お前、それいつもつけてるのか」
「うん。保険だってじいちゃんに言われてるから」
「総隊長の霊力とさほど変わりない霊力…いえ、もっと大きいものをお持ちですよ、さんは」
あたしの言葉を継いだ烈さんの言葉になにもいえなくなってしまった二人に、苦笑を浮かべるしかなかった。
まぁ、でなければ…あんなにも強い人たちがあたしの教師であるわけがないのだけど。
「…それだけで抑えられるもんなのか?」
「これはあたし用の印だから。誰のものでもない」
そういって、ベットから出て、一つ伸びをして。
よし。
烈さんのほうに向かって頭を下げる
「烈さん、お世話になりました」
「いえいえ。お気をつけくださいね?」
「うん」
二人にもぺこり、と頭を下げて、あたしは、瞬歩で一番隊隊主室に向かった。
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さて、次の話でやっと、この章の重要シーンです
おまけ
