extra stage <ルークとアリア>
今日はお休みの日。
でも、は今日も図書館に向かっている
『あること』を決めたせいか、目的のためにほぼ毎日図書館にいる
図書館にたどり着いた彼女は、初めてこの図書館に来たときから借り始めた
この国の童話集の最終巻を返した。
「読み終わっちゃったのね、次は何を読むの?」
「決めてないです。でも借りてみたい本はまだまだいっぱいあるから」
「そう、今日は人も少ないから、ゆっくり探せると思うわ」
「ありがとう」
仕事の同僚で、大先輩の司書さんに笑顔でお礼を言った後
自分のお目当ての本棚に向かい本をある程度物色した後
数人が集まる机の端っこ、一人の少年の隣に座った
「こんにちわ」
「あ…あれ?今日は仕事じゃないんですか?」
「週に2回お休みがあるの。休館日を含めると、だけど。今日は休館日じゃない日のほうのお休み」
「そうなんですか…いつもはあっちにいるから…」
「あたしだってお休みの日はあるんだよ」
くすくす笑いながら少年の反応に笑顔を向ける
彼が借りて帰る本は、いつも軍に関する本だった。
この数ヶ月では、錬金術についてかなりの知識を得ており
先日、大佐にお願いをして四大元素の本を借りていた
大佐に近く、とても遠い錬金術をしようと考えているようである。
そして、できるならリザたちのそばに行こうと思っているのだ
だから彼のこともなんとなくわかった
「名前は、ルーク君でよかったっけ?」
「…よく覚えてますね、ほかにもいっぱい来るのに」
「ルーク君の借りる本が珍しい本ばっかりだったからね。軍に入るの?」
「…士官学校の入学が決まったんで、もう借りる必要もないんですけど
まだまだ知る必要のあることが多いから、読みにきてます」
「士官学校?」
リザのそばに行く方法がほかにもあったのか…
の頭の中にそうよぎった
「えぇ、15歳から入学が許可されるんですよ。
とはいっても試験が厳しいし、お金もかかるから…」
「そっかぁ…ルーク君はどうするの?」
「僕は試験である程度のレベル以上の点数を出したから…
特待で入るんです、第1士官学校に。」
「へぇ…そんなのがあるんだ…。ねぇ、入学に年齢制限とかあるの?」
このとき、彼はあたしの反応に かなり驚いていた。
その事にあたしは気づきもしなかった。
…あたしは、このときまだ、その意味を知らなかったから。
「……確か19歳くらいまでだったと…。
幼年学校卒業しておかないとだめらしいですよ」
「……そっか」
ならばあたしには無理だ。
あたしの大佐に作ってもらったプロフィールに学校に通っていた設定などないのだから
やっぱりもうひとつの方法で目指そう
「えっと、お姉さんも軍に入りたいんですか?」
「…うん。できるならそばにいて、守りたい人がいるの
でも、その人たちはあたしを守りたいって思ってるかもしれない
だからって守られてるだけなんていやだからね」
「強いですね…」
「女は強いんだよ」
そんな会話をしていたところで女の子が現れた
あたしを見て、あからさまにいやそうな顔をしたのをみて事情をつかめた。
「…知り合い?」
「え…?あ、アリア、どうしたんだよ。めずらしいな」
「…話があるの」
「わかった、ここじゃ怒られるから、外行こう」
自分の持ってきた本を開いて読み始める前に一度、彼らに視線を向けた
「またね、ルーク君。いつでもどうぞ」
「ありがとうございます」
彼がぺこっと頭を下げて去っていくのを見ながら彼女に視線を送った
あなたが気にするような人間じゃないよ、と言う意味の視線。
…気づいてくれたかな?
集めてきた本を読みふけっていたから
何時間経っていたのかすら、わかっていなかった
「…あの」
「……」
「お姉さん」
「…あたし?」
一度目は気づけなかったけど、あたしの顔を覗き込んできた彼女。
何であたしに声をかけたのかはわからなかった
でも、あたしに用があるのはわかる
「…今、平気ですか?」
「あたしに用?」
「はい。ちょっと、聞きたいことがあって」
「ここでできる話?」
「はい……待っているだけなんて、辛いだけですよね」
彼女が言った言葉の意味が一瞬つかめなかった
「…どういう意味?」
「ルークは、あたしに待ってて欲しいって言うんです
軍に入ったら迎えにいくからって」
「そう」
「でもあたしは、ルークだけ危険な場所に行くのは嫌です
それだったら、ルークのそばにいたいんです」
待っているだけは辛い。
確かにそれはよくわかることだ。
守られているだけが嫌なのと同じように。
「…もしかして、あなたも士官学校に入るの?
でも、ルーク君はそれを知らなかったのね。」
「…そうです」
「で、さっき言ったら、ルーク君は怒ったんでしょう」
「…わかりますか」
「わかるわ、あなたが大事なのよ、ルーク君は」
「…あたしだってルークが大事なんです」
かみ締めるような言葉に、あたしは笑みを浮かべた。
この子達は、これを乗り越えたら
お互いを離すことはないんだろうな、そう思ったから
「そういうことね、さっきあたしは言ったのにな。
女は強いんだよ、って」
「そうですよね」
「でも、男も強いわ。あなたの気持ちを超えるくらい強いときもあるの
…今回はあなただと思うけど」
「…え?」
彼女がこぼした疑問の混ざった声に、後ろを示してあげる
そこにたっているのは、ルーク。
きっと、彼女に言ってしまった言葉を反芻して思い直したんだろう
「聞いてたんでしょう?ルーク君」
「…はい」
「あたしが言った言葉の意味がわかるでしょう?今なら」
「わかります」
「どうせなら、あなたが守ればいい。
自分も、彼女のことも。強くなれるでしょう、そのためなら」
別の意味で残酷だと思う。
あたしの言葉は、とてつもなくきつい意味を持ってる。
でも、それに負けるような子達ではない気がした
「…何かを決めてるんですか?お姉さんも」
「………そうよ」
「…ルーク、ルークの家、行こう」
「わかった」
物分りのいい子達。
あたしがここで話すつもりがないことに気づいてくれた
軍に入ろうとする子ってこんな子ばっかりかな
…きっと、この子達みたいな子は珍しいんだろうけど
「…ありがとう」
「いいです、おかげで、ルークと離れずにすんだんですから」
「敬語止めてくれる?あんまり好きじゃないんだ、敬語。
ルーク君もね。あと、アリアちゃんでいいのかな?」
「記憶力、…いいんだね、さんは」
ルーク君のその言葉には、笑顔だけで返して
彼らの導きで、ルーク君の家に行った
…広い、ほうなのかな?
この国の住宅事情ってわかんないな…
「ただいま」
「おじゃまします」」
「おかえり、ルーク。あら、アリアちゃんいらっしゃい。
…そちらは?」
ルーク君のお母さんかな。
優しげな人
「初めまして、・ウィスティリーといいます」
「俺のよく行ってる図書館の司書さんなんだ」
「正確には司書見習い、ね」
「さっき仲良くなって、もっといろいろ話したくなって
図書館じゃあんまり話せないからってこっちに着たんだよ」
「そう、じゃあ何か飲み物を持っていってあげるわね」
「うん、ありがとう、母さん」
仲のいい親子なのね。
あたしにとって、その姿はうれしいものだった
軍に入れば、いろいろあるって、姉さんから聞いて知っているから
誰か支えてくれる人がいて欲しい、そう思っていたから
かといって、自分がリザ姉さんたちの支えになれているかといえば
そんなことにまったく自信などないのだけど。
「かなりきつい話になるけど、かまわないかしら」
「…俺らに話してもいい…の?」
「うん、かまわない」
あたしが微笑んだと同時に、お母さんが飲み物を運んできてくれた
お母さんがいなくなったところで、話の続きをはじめた
もちろん、彼らも驚いていた。
でも、それ以上に彼らに何かの決心を与えてしまったように思えた
が決めたこと
それは、国家錬金術師の資格を取ることだった
「…俺らも、手伝うよ、さん」
「そうだね」
「…え?」
「国家錬金術師は少佐相当の地位にあることをしってるよね、さん」
「えぇ、聞いた」
なんで、ジャン兄さんがエドのことを大将と呼ぶときがあるのか不思議で
その疑問を二人がそろっている時に投げかけたのだ。
そのときに国家錬金術師はそれだけで少佐相当の地位に値する、ってことを聞いた
だからこそ一番の方法だと思ったのだけど。
「僕らが卒業するまでは、3年がかかるんだ。
その代わり卒業したら少尉になれるんだけど…」
「卒業するころにはさんも軍になじんでますよね」
「そうね。なじんでると思うし…
3年であなた達を自分で呼び寄せられる地位になっておくことにする」
「…もともとできると思いますけどね」
実を言えば、あたしにとって地位はどうでもよかったのだけど
少佐になれば部下を持つことは可能なんだ、ってこともわかった。
「そうなのかしらね。まぁ、あの人だし、上司は」
「…あの人?」
「ロイ・マスタング大佐」
「……あの人の部下?」
「なかなか面白い人だと思うんだけど?あたしは」
彼ら二人の表情が少しかげりを見せたのが気になった。
あたしにとって彼は、ちょっと面白い
ちゃんと自分を持ってる人ってイメージだったから不思議で仕方なかった。
二人があたしの表情に気づき、こちらを向いてきた。
「いろいろなうわさがあるから…」
「そっかー…あたしは実際に会ったことはあっても
彼についての情報ってほとんどないから」
「知らない方がいいと思う」
彼らの苦笑まじりの表情を見ていたから
いろいろ気になってはいたけどまぁ、軽く流しておこう。
決めたことのために、頼まなきゃいけないこともあるんだから。
それに、二人と一緒に仕事、したいしね。
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管理人の言い訳コーナー
新キャラその1というわけで…
ルークくんとアリアちゃんです。
まぁ、予測はついたと思いますが、卒業後ちゃんの部下になります。
一応あと3回ほどくらいは、番外でも描く予定です