extra story
― それは
“変わる”
ではなく
認めること ―
彼女・が中尉の家で暮らしだしてから数日。
ゆっくりとした流れではあったけど、たしかに何かが変わっていく感覚があった。
そんななかの、いつもと変わらない職場…のはずだった
終業時刻までまもないとき。
いきなり、中尉から声をかけられたのだ
「少尉、この後予定はある?」
周りに一瞬ざわめきがおこった。
もちろん、中尉から俺が声をかけられたこともあるのだろうが
彼女が勤務中にそんな話を持ち出すこと自体、皆無なのだ
「……ありませんけど」
極力、冷静に言葉を搾り出したつもりだったけど
おそらく、声は震えていただろう。
何が起こったんだ…?
「そう、よかった。終わったら門の前で待っていてください」
……………え?
その言葉に対する俺の返答も聞かずここを出て行ってしまった。
一瞬の間のあと、周りのいつもの面子が一気に俺に詰め寄ってくる
「しょ、少尉!何したんですか?!中尉に何をしたんですか!?」
「いや、意外ですね。わざわざ少尉を誘うとは…」
「何かやらかしたのか?お前」
…お前らな。
俺は内心の怒りを抑えながらも、本音を返してやる
「…俺が聞きたい」
なんで、この場所でなんだろう。
タバコをふかせながら、止まってしまっていた手を動かし始めた
終業時刻。
俺は定時に司令室を出て、更衣室に入った。
…そこで、さっき起こったことを改めて思い返す
とりあえず、待っていたらいいのか?
そう頭を切り替えて、私服に着替え終わり門に向かった
門の前でタバコに火をつけて、もたれかかって
ゆっくりと待つつもりでいたら、目の前にある人物が現れた。
「少尉ー!」
エドとアルだ。
どうしたんだろう。
「よう、どした?」
「ちょっと大佐に用事です」
「まだいるだろ?どうせ」
「あぁ、いるはずだぜ?」
俺が出てくる少し前から、スピードが本気モードになっている理由がわかった。
大方、エドが来るということを知ったのだろう
「サンキュ」
「じゃあ、少尉、姉よろしく」
「……はい?」
「こんばんは、ジャン兄さん」
アルの影になっていたが後ろからその言葉にひょこっと顔を出した
…なんか俺、今日驚いてばっかりだな。
「……まで来てたのか。どうした?」
「姉さんがね、ちょっと話があるから、って言ってたから」
「そっか」
…あぁ…さようでございますか。
その言葉にやっと、俺は自分のおかれた状況を理解できた。
実は俺と中尉は、まぁ、言えばそういう仲なわけで。
今のところ、暗黙の了解、ということで誰にも言っていなかったのだ。
が中尉の家に暮らすことになった時に
正直ちょっと、どうしよう…という気持ちにはなっていた。
それくらいで壊れるなら、最初から無理なんだし
なにより…今の関係ですら、本来少し人と違うのだから、気にすることもない。
「ジャン兄さん、どうかしたの?」
「……いや、中尉、まだもう少しかかるかな、と思って」
「そうだね。いくらさっきエドが電話したからって言ったってね」
「だよなぁ……って、お前…」
普通に聞き流してしまいそうになった。
エドと大佐のことに、気づいてるのか…。
俺が聞きたいことにも気づいたのだろう、微笑を浮かべて答えてきた。
「…気づいてるよ。でも、まだ付き合ってるわけではないみたいね?」
「そこまで気づいてるのかよ…」
「あたし、そういうことには勘がいいんだ」
「…そうなのか」
…これはもしかしたら…ばれてるかもな。
中尉もそれに気づいたのか、それか元々隠すつもりもなかったから今日呼んだのか。
まぁ、それも中尉がきたらわかるか。
脳内でそう決定付けた俺は、タバコを消して、門にもたれなおした。
数分も待たないうちに、中尉が現れた。
大佐、もう片付けたのか…。
「、わざわざごめんなさいね」
「いいよー」
ボーっと状況が流れるのを眺めながら、言わなければいけないことをまとめていた
きっと、この後話すんだろうから。
俺と一緒にはなすって、決めてくれたのは、すごく嬉しいことだし。
「じゃあ、いきましょうか」
「はいな」
「…ジャン兄さんも?」
「話ってそのことなの。詳しくはどこかに落ち着いてからね」
そういった中尉の顔は、少し照れくさそうで
あぁ、めちゃくちゃ可愛いよ、もう
そんな内心の言葉を隠しながらも、俺は2人と一緒に歩き出した
とりあえず入ったのは、いつもなら2人で行っている穴場のレストラン。
安いし、おいしいし、何より個室がある
一緒にいるを見て最初ちょっと驚かれたけど
軽く事情を説明したらおまけの料理が出てきた。
相変わらずだな、マスターは。
「……いいのかな」
「甘えとけって。マスターリザさんのこと大好きだから」
「……」
出てきた料理に対する反応に俺は、ついついいつもの調子で言ってしまった
やっちまった…
「リザさん?」
「いきなり名前で呼ばないで頂戴!」
その反応に、耐え切れなかったのか、が吹き出した。
俺も、吹き出すのを必死にこらえる
だって、リザさんったら、真っ赤。
「……、笑わないでくれる?」
「…だって、姉さん、真っ赤だよ…?」
「…ジャンもよ」
「イエス、マァム」
「はぁい…」
両手を挙げて降参。
真っ赤なままでも態度が完璧に怒ってるのでこの辺で。
「…ところで、お前気づいてたのか?」
「うーん……ちょっとは。もしかしたらそうなのかな?くらいで」
「…他の面子で気づいてそうなのはブレダと大佐くらいだろうな、多分」
俺の言葉に、ばっとリザの顔がこっちに向いた。
…気づいてるよ、多分
一番気づかれたくない人であっても、彼は、絶対に気づく
「…言わないの?」
「…俺たちはさ、あの人を上に押し上げたい。
そのために、あの人を守り続ける」
「だから、まだ言えないの。あの人を守り続けることが
今の私たちの決めたことだから」
「……うん、わかった」
リザさんの言葉には、何かを決めたような表情を一瞬見せた。
、お前、いったいどんな人生を歩んでたんだ?
俺は、そう思わずにいられなかった
が何を決めたのかすら、俺にはわからなかった
「…?」
「ちょっとだけ、いい?」
「ん?」
“やるべきことは決めたこと。それは、時に何よりも強い力となる
それだけ、心が決める、ということは大切なこと”
「……え」
がなにやら言い始めたとたん、周りに、小さな光が舞いはじめ
それは、そのまま俺たちの体に吸い込まれた
「…なんだ、これ」
「あたしの使う力の一つ。あたしは、言魂って呼んでる」
「…すごいな」
「そんなに影響のあるものじゃないよ。でも…強くさせるためのものを
探していこうかな、って思ってはいる」
にっこり、と何もいえなくなるような笑みを浮かべてくる、。
…なんだか、後が怖いような気がしてきた。
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管理人の言い訳コーナー
ちゃんの言魂、他の面子に初公開。
複線がいっぱいありますねー。
まぁ、形にするためのデータはあるんですが…
うまくいくかどうか…、いまいち未定です。