あたしは何が起こったのかわかっていなかった。
まだ、このときは
それでも不思議と、怖さも恐ろしさも無かった。
ただ、目の前に居るこの『獣』は、とても
あたしに、似ていると感じた。
「おぬし…まだいきておるのか?」
「………うん」
「…くるか?」
「いく。母さんと父さん、埋めてから」
「埋めてやろう」
「うん、…おいぬさん、ありがと」
「……狼じゃ…狛村左陣、という」
「狼さん、ありがとう」
『寂しい』
そんな気がしたんだ。
たとえまだあたしが、小さな、子供でしかなくても。
それは、わかった。
a little girl and dependence
あたしが少ししゃべれるようになったころだった。
この辺にも荒くれものが来るようになってきているのだ、と父さんが言い出していた。
草鹿のはずれ、すぐそばは78番地区。
まだ、草鹿の中では、ましなはずだった。
でも、ここは流魂街にしてみたら、ひどい場所だったのだ、と
今そばに居てくれる彼は、教えてくれた。
あたしの名前は狛村。
霊力は生まれた時から高かった。
―高すぎるほどに。
入学した時のあたしの名前は、草鹿。
左陣さんに、あたしからお願いしたんだ。
自分であなたのところまで行きたい。
あなたの名前や、じいちゃんに甘えたくない、と。
ほんの気まぐれだった。
任務を終えた儂は、瀞霊邸を出て流魂街を回っていた。
気付かぬうちに下の番号の土地まで来ていることがわかったのは
鉄の匂いが充満し始めたからだった。
死体に気付き、立ち止まった。
ふと、小さなものが動いていることに気付いた
「…おぬし、まだ、いきておるのか?」
「………うん」
「…くるか?」
なぜだろうか、この子を目が合った瞬間、お互いにお互いを分かり合った気がした。
儂には、この子が必要なのだ、と心にストンと落ちてきた気がしたのだ。
「いく。母さんと父さん、埋めてから」
「…埋めてやろう」
「うん、…おいぬさん、ありがとう」
「……狼じゃ…狛村左陣、という」
「狼さん、ありがとう」
そういって立ち上がり微笑んだ彼女の手にあったのは、握り手の無い、刀。
周りのうちの二人をこの子が殺したのだとわかった。
そしてもう二人は、このこの両親だ。
背中にとても深い傷が、あった。
とてもではないが、この子が握っている剣で、この子をかばう形になっていたはずの二人は殺せはしない。
きっと彼女が殺した二人が殺したのであろう。
「それを儂に渡せ」
「あ………」
「後で、きちんとした刀にして、渡してやろう。
おぬしが、両親の敵を討ったものだろう」
「……うん」
そのもち手の無かった小さな刀は、後に彼女の斬魄刀となった。
少女と獣の姿をとらされた彼の出会い。