『遠い日に…』
挿話
=生誕の祝いと、永き底からの脱出=
誕生日と言う言葉を脳裏から消し去って幾年。
をわが娘としてから、夜一殿や元柳斎殿、京楽や浮竹がたずねてくる時が増えた。
「そういえば、の誕生日はいつなのだ?」
「えっとねぇ…あっつい日だよ。夏!」
「夏か。さすがに日付は分からんの?」
「うん」
「ふむ、では拾われた日にすればよいだろう?」
「そうじゃな。いつだかわかるか?狛村」
話の輪に入らずにただ傍に居ただけだったが
に出会った日は、脳裏に強く焼き付いている。
忘れることなど、ない。
「…今からちょうど半年前だが…」
「ということは…八月の二十四だの」
「うむうむ。確かお主は八月の二十三だと申しておったな」
「……はぁ、そのとおりですが」
この瞬間まで、誕生日は、ただ、ひとつ年を重ねるだけの
いつもと変わらない日でしかなかった。
「え、もうすぐだ!じゃあ、お祝いしなきゃ!!!」
「そうじゃのう。。おぬしの誕生日もお祝いしような」
「ホント?!わーい!!」
夜一殿との会話に必死だったはきづいていなかったであろうが
儂はの言葉に驚いていた。
祝うものではなかったのに。
儂にとって、誕生日はもはや、何の意味もない日であったのに。
八月二十三日。
「おはよう!お父さん!」
「……あぁ、おはよう、」
「今日はね、今日はね!夜はもご飯作るの手伝うよ!
お祝いの料理手伝うの!
春水お兄ちゃんも十四朗お兄ちゃんも夜一さんもみんな誘ったよ!
あと要さんも誘ったしー」
楽しそうに告げてくる。
…楽しそうなに、わしも嬉しくなった。
あぁ、そうか…。
誕生日が普通と変わらぬ日だったのは
こんな風に祝われたことがなかったからだったのだな。
…には、こんな思いはさせたくはないな。
…だが、心配はいらぬのだろう。
こんなにもみなに愛される子だ。
今わしが感じている暖かい気持ちを、たくさん感じてくれるのだろう。
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SSSだけど、遠い日にVer.も書いて見ました。
8月22日脱稿