十番隊。


「日番谷隊長」
「…檜佐木か、どうした?」
「来週の合同任務の方の書類をお持ちしたんですけど」
「あぁ、悪いな。そこにおいておいてくれ」

隊主室では、すでに眠りに入っている乱菊さんと、三席の坂内がいた。
どうも、ここの執務室にくるといやーーーーな気分になるんだよな。


「はい」
「…………だから、気配を消して入ってくるのはやめろ、草鹿」
「…言わないで欲しかったなぁ」


その言葉に俺が一番大切に思っている彼女の気配が現れる。
…まったく気付かなかった。ちくしょう。


「どうかしたんすか?


!?
阿散井や、斑目さんとかならともかく、坂内って接点あったか?!


「秋都。これ、渡しておいてー」
「あ、ありがと。」

しかも呼び捨て?!
何だよあの袋。
ちくしょー。いつもいやーな気分になってた理由がわかった。
…あいつの挑戦的な視線のせいだ。


あーーーー、むかつく。


「じゃあ、俺失礼します」
「…おう」
「あ、修兵さん!今日も同じ場所でいいですよね?」
「…あ、あぁ。」


ほんとに前途多難だよな。
ちくしょう…。昼、勝負掛けるか。





彼が出て行った後、俺は改めて隊長に向き直る。
気の毒だけど、あの人にはまだ言えない。
…よっぽどでない限りは。


「……これは春美に渡せばいいんですよね?」
「うん。この間見つけたんだー。春ちゃんに似合うと思って。
あんまり買い物にもいけないでしょ?春ちゃん」
「そうですね…。春美、喜びます」
「そうかなー、そうだといいな」

その反応に、こっそりと冬獅郎がため息を落としているのがわかった。
まぁ、ここまで鈍感な隊長にも苦労しますけどね。
俺たちだってあきれ返ってるんですから。

「今日もお昼は一緒なんですか?」
「うん、おいしいって言ってもらえるの、すごいうれしいしね」
「そうですか。夕方からはあちらの任務ですよね、久しぶりに」

そう。今日は珍しく任務がある。
我々零番隊の任務が。

しかも最初から出動が隊長のみ。

かなり嫌。

俺の嫌な気分にも気付いていたのだろうか、隊長が苦笑気味に口を開いた。

「そうだねぇ。まぁ、そう心配することも無いよ」
「…見抜かれてますか」
「全員に『気をつけてくださいね!』って言われたらね。秋都が言わない訳がない」
「……『気をつけてくださいね』」
「わかってるよ。…何か合ったらきちんと連絡するから。だから…気は抜かないで置いて
それは全員に言ってあるし」

うっわー…これは最悪のパターンかな。
誰かが傷つく時には、こんな表情を隊長がされる。


それは、きっと昔から培ってこられた、感覚。


「駆けつけます。何があっても」
「…ありがとう」





時は流れ、昼休み。


「待たせたか?」
「いえいえ、今来たところですよ」
「よかった」


いつの間にか恒例となってしまった、昼休みの二人きりでの食事。
最初のころは視線を感じていたが、そのうち感じなくなっていた。

二人で和気藹々と食事を終えて、お茶を飲み始める。

こののんびりとした雰囲気と、この時間を失いたくは無い。

彼女を他の人間にとられたくなど、無い。



「…はい?」
「俺は…お前をすごく大切に思ってる。これからもずっと…一緒にすごして行きたい」
「………え?」


の顔が固まる。
まるで、何を言われているのか理解できていないような、そんな表情。


を好きなんだ。誰よりも」
「………しゅうへいさ…」
「…いやだったら、きちんと断ってくれ。それじゃあ」

俺は、結局返事を聞くことも出来ずにこの場を去った。



後にものすごく、後悔することになるのだとは、夢にも思っていなかったけれど。



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
急展開!
えー、予想はお付きだと思います。


苦労人は恋次とと日番谷ですかね。
秋都は完璧に楽しんでますから。二人の関係についてだけは、ね。