宴会会場に決めていた、一番広い部屋。
入った瞬間、あたしに視線が集中した。
あぁ…牙狼から聞いてるのね。
「…京楽隊長はお帰りに?」
「うん。そのことで、宴会の音頭をとる前に話しておきます。
あたしたちの初任務は、ちょうど一週間後。それまでのあなたたちの訓練は
護廷十三隊七番隊隊長狛村左陣、八番隊隊長京楽春水、十三番隊隊長浮竹十四郎が受け持ちます」
「………はい。」」」
「あたしと秋都も、一応訓練ね?
いくら三席とはいえ…本来の霊力で戦っていない今としては、体が鈍っているでしょう」
きっぱり、と言い放つと、他の護廷十三隊にも籍を置いている全員が苦笑を浮かべた。
先日死んだばかりか、ほかにどこにも所属していなかった人間に比べたらまだましとはいえ
本来の霊力をほとんど遣っていない自分たちの体を、ならす必要があることを
改めて突きつけられたのだ、という顔。
…まぁ、それはあたしもなんだけどね。
「…でもよく、京楽隊長がおわかりくださいましたね」
「あたしがまだ、もっと小さかったころからの先生なの、さっきの3人って。
ホントはもう二人いたんだけどね。…知ってる?浦原喜助と四楓院夜一って」
あぁ、さすがに席官メンバーは知ってるか。
そう昔の話でもないものね。
苦笑交じりの席官の面々が、ぐ、っと手を握っているのがみてとれた
羽美ちゃんが口を開く。
「あの方がなぜ追放されるのか、私にはまったくわかりませんでした。
隊長はご存知なのですか?」
「…わからないわ。でも…ここに住んでいる限り、法に従うしかないの。
二人もきっと元気にしていると思うし。」
「そう、ですね。」
「さてと、いろんな話はここまでにして、今からは宴会よ。みんなグラス持った?」
しっかりと準備された宴会の料理は、運び入れた16人が使える長机4つに所狭しと並べられ
全員のグラスには、しっかりとお酒が注がれている
「隊長、音頭を。」
「うん。零番隊結成、そしてこの出会いに。乾杯」
「かんぱーい!」
ぐいーっと全員がいっぱいを飲み干して、あたしも腰を下ろした。
隣に座っている子たちが、ふと気になったのか杯を置いて、こちらを向いた。
「そういえば、隊長っておいくつですか?」
「実際いくつかもう覚えてはいないんだけど…、5,600年は生きてると思うんだよね」
「…………えええええええええ!!!!」
「あたしより年上なのって、いる?」
「そんなの現隊長格とかくらいですよ…。今の副隊長さんたちでもかなり微妙じゃないですか」
「あ、うん。それは知ってるのよ。秋都は?」
すでに悟った風に料理に手を伸ばし、舌鼓を打っている秋都に話を振る。
多分一番年が近いんじゃないかなーと思ったんだけど。
「俺でも100年くらいですねー。三席になったのだって、日番谷隊長が就任したときですし」
「…5,6年前くらいだっけ?彼の就任って」
「はい。前隊長がちょうど退任したがってたところに、彼の就任教育が終わったんですよ。あいつ副隊長やってたし」
「…もしかして、日番谷くんと昔からの知り合い?秋都」
んー。と思った。彼が天才児とか言われて入隊したってこともじいちゃんから
何気なく聞いて知ってたし。っていうか子ども扱いでかなり可愛がってる。
あれはあたしと変わらない扱いだよね。
そんなあたしの質問に帰ってきたのは、苦笑交じりの表情と、一言。
「……冬獅朗から聞いたんですか」
「ううん。なんとなく。力隠してたのに、わざわざばれるような階級に自分からなるとは思えなくって」
「…良くお分かりで。同期なんすよ。あいつが飛び級してきたところに、俺もいたんで。
で、初会話が『…お前、何で力隠してるんだ?俺より強いくらいだろ、その霊力』だったんすよね」
くい、っと酒を煽りながら懐かしむようにつまみを口にほおりこんだ秋都。
日番谷君にもいいお友達がいるんじゃない。よかった。
「そっかー、なるほど。あたしが狛村ってことを知ってるのは
現在だと、左陣さんと、春水兄さんと十四郎兄さんと、後日番谷くんと乱菊さんと総隊長、おじいちゃんくらいかな。
あ、あと、あたしの同期で、今十番隊の新入隊員なんだけど、そのうち出世すると思うわ。」
「…と、浦原隊長と夜一様ですか」
「うん。そんな感じ。」
秋都が、しっかりと自分の脳内にインプットしたのがわかった。
他のメンバーも、真っ先にその、という人を見てみたいと思ったのが全員の顔に出ていた。
「ちなみに、松本乱菊さんとは姉妹だからね。」
「はい。十番隊の面々はみな知ってますよ。でも、零番隊のことをご存知なのは…」
「今現在は春水兄さんとおじいちゃんのみかな。明日には、左陣さんと十四郎兄さんにも話すけど……」
思わず、心からのため息をついたあたしに、牙狼と羽美ちゃんからの苦笑交じりの視線が向かってきていた
さすがに、気付いてるか。
って言うか牙狼はさっきのがあったからよねー。
あたしは今更になって肝心なことを思い出した。
「そういえば…、藍くん、春美ちゃんに聞きたいんだけど…斬魄刀…ある?」
「ないみたいっすよ。」
質問に答えたのは、彼らではなく、秋都だった。
しかも、何それ、っていう顔をしている。
もらってないの!?浅打もらってこなきゃいけないじゃない…。
「…そこから始めなきゃいけないのねー。鬼道とか歩法とかは教えてるのに…。
せめて浅打でもいいから渡しておいてくれたら話が早かったのに」
『しかたねぇよ、』
「……うわわ!」
さっきの2人が思いっきりびっくりする。
さすがに他のメンバーはびっくりはしてないわね。うん。よろしい。
空翔の出現を合図にしたかのように、他にも次々と具象化し始める
『我々とは違う部分があるのは仕方のないこと。6年以内にこれだけの人間が集まっていること自体がすごいこと。』
「…雷秋」
『そのとおりです。そして、我がこの場にいられることをとても幸せに思う。力を隠したいというのが主の望みであったが』
『許されるなら、僕たちも力を十二分に発揮したかった。とてもうれしい』
「…空雅」
「…天光」
『俺はさっさとあばれてぇけど!』
「こら、天狼!?」
現れて行くそれぞれの本体たち。
いい子達ばかりね
「斬魄刀の本体よ」
『刀とはいえ、我々は一個の意思を持つもの。おぬしらにもそれぞれの斬魄刀がある』
「そういうことだ。明日からの訓練で、まず話すことから始めなきゃな」
さらりと残酷なことを言い放つあたしと秋都に、所属メンバーが震え上がる。
「まぁ、あたしも書類仕事さえ終われば、あとは十一番隊の特色上結構動き回れるけど…。
あ、それを言えば…、大地くんもよね?」
「俺っすか?!…まぁ、任務がない日はOKっす」
「あとはじゃあ…それぞれの休暇の時くらいですねー。この調子だと結構大変じゃないですか?任務のときに」
「あー…大丈夫よ。あたしたちが出る時ってそんなにないから」
「…え?」」」」
…そういえばあたしって任務の説明と零番隊の説明、してない。
宴会のほうが先立っちゃってたもんな。
「あたしたちの任務って、いったらなんだけど、護廷十三隊の手が回らない仕事だから。」
「…それってつまり…。」
「最低で大虚かしらね」
「……ちなみに来週の初任務ってもしかして」
「うん。今日発見された巣」
席官メンバーが、鬼いいいいいいい!!!と叫びたくなったのは、言うまでもなかった。
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誰かあたしに絵心をください。
それぞれの斬魄刀の絵も浮かんでるのにー!!!!(涙)
日番谷隊長と秋都の就任に関してはこういう設定に落ち着かせました。
脱稿4月10日。