「じゃあ、あたしは明日いきなりですけど休暇もらってますんで」
「なっ!」
「えー、ちゃんおやすみなのー?」
「ごめんね、やちるちゃん。でもお墓参りだから。」
「…そっかぁ…気をつけてね。」

そういったあたしにまわりもさすがに黙った
四席としての仕事も、ちょこちょこ乱菊さんとかに助けてもらいながら
なんとかこの一週間でまわしてきた。
明日は…あの日だ。



あたしの、両親が死んだ日で


あたしが自分の身を守るためではない理由で初めて人を切った日で。


あたしに新しい家族が出来た日。






End and starting 〜far far far ... Remenber.〜




「じゃあ、。明日…全部話すために、迎えに来るから」
「……わかった」
「うん、ありがとう」


に別れを告げ、あの家へと向かった。
あたしの家に。


「…よし」


一つもう一度深呼吸をして、あたしは家の扉を開けた。
帰ってきたのをわかってくれたのか、二人が出迎えてくれた。

「ただいま」
「おかえりなさい、ちゃん」
「ただいま、美幸さん」
「もう左陣も帰ってきていますよ」


うん。良くわかってる。
左陣さんの気配は絶対に変わらないもの。


「左陣さん、ただいま」


そういって後ろから抱きついた。
びっくりもしない。当たり前だ。
この姿の左陣さんに抱きついていいのは、あたしだけなんだから。


いまのところ、ね。


「明日じゃな」
「うん。明日帰ったらそのまま、…あたしの友達と、あとお姉さんなんだけど…松本乱菊さんもつれてくるから」
「…そうか。儂は最初は鉄笠をつけておいてもよいだろうか?」
「うー……。でもぜったい外してよ!」
「…わかっておる」


わかっておる、の語尾が小さいのは何でかなぁ…
すっごく気になるーーーーーっ!!!!!!





翌日。



あたしは、二人の墓のまえに、あの着物を着てたった。

「父さん、母さん。また来たよ。
今回が最後なんだ。…もう、狛村になろうって決めたから。
でも、絶対忘れない。父さんと母さんが居たこと。守ってくれたこと。絶対忘れないからね」

探してもらった緋衣草―シルビアをそっと供えて、あたしは立ち上がった。
振り返って左陣さんの方を向くと、何気、固まっていた。


「帰ろう、左陣さん」
「………
「……仕事場では、草鹿を貫くよ。まだ、ね。でも…もう、いいかな、って思ったの」
「そうか…わかった。では、帰ろう。儂は今回半休しかとれんかったのだ…。すまんな」
「いいよ。隊長格がこんな時に半休とるのどれだけ大変かわかってるから」

そういってひょいっと肩に乗っかって、左陣さんの瞬歩を楽しむ。
これが結構楽しみでもあったりするんだけどね。

そのまま、瀞霊廷に帰って、あたしは家に居た。
ひさしぶりに人を招くって言ったらさんが思いっきり張り切ってくれているのであたしも手伝うのだ。


そして、夕刻。
十番隊隊長室に、こっそりと忍び込む。
しっかりと仕事中の日番谷くんがあたしに気づいて振り向く。


「……なんだ」
「いきなりごめんなさい、十番隊隊長さん」
「お前にその呼ばれ方をされたくないな、しかもその格好で」
「…日番谷さん?」
「……せめてくんにしろ」
「じゃあ、日番谷くん。もうきょうのしごとはおわりですか?」
「俺はもうすぐ終わりだ。松本二人は知らん。もうすぐ来るだろう。」


よし、予想通り。絶対ここに来ると思ったんだ。
それまで待つつもりなのもわかったんだろう、座布団を出してくれた。
やっぱりやさしいね。始めてみた時からそう思ったもの。


「隊長」
「…入れ」

二人の気配が外からしたと同時に、声がかかった。
あたしは、すっと立ち上がって、ドアのそばに隠れる。
しーーー、という合図を彼に向けて。


「…失礼いたします、隊長」
「もう終わりだろう?」
「はい。お先に失礼いたします。」
「あぁ、お疲れ。……迎えが来ているぞ、二人に」


迎え?という表情をしたであろう二人に、あたしは気配を戻して二人の傍に立った
すぐにあたしの気配に気付いて振り返り、思いっきり驚きの顔で。


「………あんた、?!」
「あんたいったいいつから…」
「……数刻前からここに居たぞ。確かに気配は消しているというか違う気配だったがな」

その言葉に、彼に視線が向く。
苦笑交じりに書類をそろえて立ち上がる。

「約束は守ったからな。それじゃあ、俺は帰る」
「ありがとう、日番谷くん」
「…………あぁ」

出て行く彼の背中に、そう返すと、一瞬止まって、ぼそ、っとそう呟いた。
結構照れ屋さんなんだねぇ。

「……くんって」
「この格好の時は隊長さんって呼ぶと怒られるのよね。
とりあえず事情は…全部話すから、付いてきて欲しいんだ」
「…私も?」
「うん、乱菊さんも。付いてきて欲しい。緋衣の話も、するから」


そのあとあたしは、隊舎を出て、清霊廷の端にある家まで、二人を案内した。
まだ、左陣さんは帰ってきていない。
それに、他の人もまだ居ないね。うん。



って言うかむしろ来ないで欲しいんだけど。



「…ここ?」
「おっきい家ねぇ」
「うん…そうだね」


確かにそうだね。
あたしも、この家を始めてみた時、そう思ったんだから。


「……入って」
「おじゃまします」」


ドアを開けて二人を招き入れると、美幸さんが迎えてくれた


「おかえりなさい、ちゃん。そちらが今日のお客様ね?」
「そう。と乱菊さん」
さんと乱菊さんね。どうぞおあがりになってくださいな。左陣さんももうすぐ帰ってくるころですね」
「そうだね。全部準備できてるし」


ころあいを見計らって迎えにいったのだから当たり前だ。
左陣、という言葉にまだ、気付いては居ないみたいだね。

二人を食卓に案内して、座ってもらう。
あたしも腰を下ろして二人に向かい合う

「話は、左陣さんが帰ってきてからしたいから…」
「帰ったぞ、
「左陣さん!」

入り口からの声に、あたしは立ち上がった。
向かい合っていた二人もだ。
そして、二人が振り返り、固まった。


やっぱり、固まるよね。


そこにいるのはだって


七番隊隊長 狛村左陣なのだから。


「すまぬ。もう少し早く帰るつもりだったのだが…。」
「ううん。おかえりなさい、左陣さん」
「……にそうやって迎えてもらうのは、6年ぶりだな」
「…うん。わがままをかなえてくれて、ありがとう、左陣さん」

ぽかぁん、という言葉が正しいのかな。
二人がしっかりと固まっている。

「さぁさぁ、ごはんが冷めますよ。つもる話は食べ終わってからに致しましょう」
「美幸さん…」
「すまぬ、美幸」

そういってぽかーんとなりながらも、二人が座ると同時に、左陣さんが鉄笠を外した。

「…………そんな顔してたんですねぇ…、隊長」
「…よく、人を驚かせるのでな。鉄傘をかぶっておるのだ」
「まぁ…わかりますけど…」

ぽかぁん、としながらも食事に二人ともありつけているので正直ほっとした。
一度だけ他の人が左陣さんの顔を見て逃げ出すのを見てしまっているから。



あたしにとっては、左陣さんは、とても大切な人なのだけどね。



食事が終わり、美幸は片づけを始めたので、少し手伝ってくる、といってが台所に向かった。
残された3人は、狛村の案内のもと、別の部屋に居た。
座るよう促された二人が腰をおろしたのを見て、向かいに座った狛村。

「…驚かせてすまぬ。詳しい話はがするであろう。少し待たれよ」
「……はい」

二人は、彼の顔にも驚かされていたが、なぜ狛村がのことを呼び捨てにするのかも
まったくわからなかった。

そして、緋衣とのかかわりも。

「おまたせしました」

「全部話す。約束どおりね」

そういって狛村の隣に腰を下ろしたは、す、っと手を付いて頭を下げる

「改めてご挨拶いたします。七番隊隊長狛村左陣が養女、狛村と申します」
「……………えぇええええええええ!!!!!」」
「私は草鹿で左陣さんに拾われたんです。
6年前、あたしはやっと、左陣さんとおじいちゃん………山本元柳斎重國総隊長を説得して
霊術院に入学しました。…草鹿として」
「…甘えたくない、自分の力を役立てたい、と押し切られたのだ。
…そのため、は儂の名を名乗っては居ない」
「私が、狛村として死神になるのは、自分の力でそばに立つとき。そう決めているんです」


なぜ、草鹿なのかわかった気がした。
…ただ守られているだけで満足するような人間ではない。

それは、二人にもよくわかった。


「そう。僕たちはまっったく聞かされていなかったけどね」

その言葉を継いだのはは、気配を消して訪問してきた京楽春水だった。
悔しさと、嬉しさの入り混じったような声。

「……おぬしか、京楽。まったく気配を消して尋ねてくるのはやめろと何度言ったらわかるのだ」
「きょ、きょうらくたいちょう!?」
「あぁあぁ、そんなに驚かなくても…」
「普通驚くだろう、なぁ。」

京楽の後ろからひょこ、っと顔を出してきたのは、浮竹十四郎。
顔色はそう悪くは無い。
二人そろって中に入ってくる。

「俺は初めましてだな。乱菊はともかく君は」
「…う、浮竹十三番隊隊長!?」
「もしかして、お二人とものことご存知だったんですか」
「そりゃ、師匠だからねぇ。の」
「はぁああああ!?」」

はい。そのとおりです。
でもさすがにまだそこまでいうつもりはなかったのに…、きちゃうしなぁ…
いやね、なんとなく予想はしてたよ。
あたしがこの日だけここに帰ってくるのはいつものことだったからね。

「君は?」
「あたしの妹で、の『特進クラス最強コンビ』の片割れ。松本よ」
「……き、乱菊姉さんそれをどこで!?」
「あんたの同期」

頭がパンク寸前!って言う顔をしているは、乱菊さんの発言にかなり慌てている。
そりゃまぁ、いきなり隊長3人に会っちゃうのはきついか。


「……あの日、総隊長に呼び出されてたのはじゃあ…」
「十一番隊にきまったのがおじいちゃんにばれて、なんとかやめさせようとされたから」
「山じいに甘いからねぇ。ボクらもその日までこのこと知らなかったけど」
「あのときはかなり驚かされたな…」


す、っと腰を下ろした二人に、もう、どうにでもなれっ!となってしまった様子の
狛村の顔にももう耐性が付いたらしい。


「…じゃあ、あの時食事屋に京楽隊長が来たのは…」
「うん。珍しい取り合わせだなぁ、と思って覗いたら、3人で緋衣飲んでるんだもん。びっくりしたなぁあれは」
「………懐かしいな。緋衣か」
「確かに。まだあるのか?狛村」
「あの日以来あけておらぬ。飲むならもってこよう」

そういって立ち上がった狛村を見送って、改めてたたずまいを直す二人。
苦笑交じりなのは否めないだろう。

「そういえば、緋衣の意味って何なのよ、
「…緋衣草って言う花があるの」
「…花?」
「うん。ちょうどあの時、花言葉の本を読んだ後だったからわかったんだけど…。
緋衣草の花言葉は、家族愛、って言うんだって。」


懐かしそうに語るあたしに、二人が顔を見合わせた。
びっくりしてくれてるね。うん。
ちょっと楽しいなぁ。


「……家族愛かぁ」
「珍しい酒が手に入った、って二人で雨乾堂を訪ねてきてくれてね。ちょうど春水もきていたから全員で飲んだんだ
その時にが教えてくれたんだよ」
「…あの時にはもう、決めていたんだよね、
「まぁね…でもまだ、おじいちゃんとの言い争い中だったかな」
「あのころにはほぼ元柳斎殿も折れておったよ。最後のあがきじゃ、と良くぼやいておられたよ」


戻ってきた狛村がそういうと、隊長格二人がはぁ…と大きくため息をついた。


「訓練を始めたのは抑えきれていない霊圧のせいだったんだがなぁ…」
「今となってはそれも…だねぇ…」
「え」
「…そういえばあんたが本気になってるのってなかったわね。なるほど。」


う。見抜かれてたか。
苦笑交じりに手放すことの無い腰の斬魄刀、空翔に触れた。


全員に配られたお猪口に、緋衣が注がれて
春水おにいちゃんが立ち上がる


「それじゃあ、の帰還に。」
「乾杯」」」



全員でおちょこをあわせあい、くいっと、飲んだ。





ただいま、お兄ちゃん、左陣さん。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
第一章終わりです。

次からは一応、彼女の能力と、本来の設定をどんどん進めていきたいと思っています!
っていうか、斬魄刀の常時帯刀って認められてないんだよね…(滝汗)
いくら11番隊でも守ってるよな…(爆)


脱稿 4月26日。