藍染さんが新しい破面を生み出したと事を知ったのは、
破面軍の中で、俺が最後だったらしい。



『水と油+α』



暇だ。
暇で仕方がねえ。
俺は薄暗い城の中を、目的も無くだらだらと歩いていた。

最近、周りの奴の態度がおかしい。
理由は知らねえが、おかしいのだけは確かだ。
何がおかしいってお前、ウルキオラが笑ってたんだよ!!
天変地異の前触れじゃねえかと思ったぜ、本気で。

いっつも何考えてんだか分からねえ無表情ヤローが、珍しくデイ・ロイとイールフォルトと話してやがると思ったら、
笑ってやがったんだよ!
口の端をちょっとだけ上げて、薄っすらと笑ってやがった。
話をしてたデイ・ロイとイールフォルトも、遠目で分かるぐらいにウルキオラの顔を凝視してたな、ありゃ。

何の話をしてるのか気にはなったが、この俺がウルキオラの笑ってた理由を知りたがったなんてバレた日には・・・・・・
ウオー!!考えたくもねえ!!!
ウルキオラとは初めっから馬が合わねえってのにあのすまし顔で、
『何だグリムジョー、そんなに俺と仲良しになりたかったのか?それは知らなかった。悪かったな』
って、ぜってー欠片にも思ってねえ事を言い出すに違いねえ!あの天然ボケ!!
あーくそ、頭痛までしてきやがった・・・・・

グリムジョーは足を止め、目頭を指で押さえて俯いた。
それの様子を、通路の曲がり角で目撃したが一人、慌てふためきながら駆け寄って来た事に、
グリムジョーは気付かずそのまま目頭を押さえ続けていた。

は7日前に生まれたばかりの破面ではあったが、気配と霊圧を抑える術を教育係として藍染に任命された
ウルキオラから日夜、教え込まれていた為だろう。
姿は10歳程度の少女ではあったが、もれっきとしたヴァストローデの破面。
その成長振りは目覚しく、正に十刃に相応しい才たるものを感じずにはいられないと、教育係を任されたウルキオラに言わしめた程だった。


「大丈夫?」
「ああ、たいした事ねえよ・・・・・」
「良かった」
「・・・・・・・・・・・・・」


グリムジョーの顔を見上げてにっこりと微笑むの声に、条件反射のように返事を返していたグリムジョー。
聞き覚えのない少女の声に、目頭を押さえていた手をどけて、そのまま自分の足元を見下ろす。
バチっと言う効果音が聞こえそうな程に真正面からぶつかった双方の視線に、グリムジョーが声を上げる。


「・・・何だお前?」
「えっと、はじめまして。だ・・・だい・・ちょっと待ってね!?」
「ああん?」

怪訝な視線を向けたグリムジョーに、は礼儀正しく頭を下げ言葉を続けようとしていたが、その言葉を忘れてしまったのか
オロオロと眉根を寄せてグリムジョーに待つよう意思を伝える。
ヒラヒラとしたミニスカート型になった服のポケットから、一枚の紙を探り当てた

「えっと。私は第10十刃、です。グリムジョーには内緒にして下さい」
「ああ?」
「藍染様が、力加減を間違えて殺されかねないから、バレるまでは内緒にして貰いなさいって言ってたの!!」
「・・・・・殺さねえよ、こんなガキ」
「?」
「俺がそのグリムジョー・ジャガージャックだ。よろしくなチビ」
「!!!」

握り締めていた紙をグリムジョーが取り上げて一瞥をくれると、ビリビリと無造作に破り捨ててしまう。
はグリムジョーと名乗った事よりも、破り捨てられた用紙の事がショックだったのか、瑠璃色の瞳が一瞬にして涙で満たされた。
グリムジョーはそれを見ても顔色一つ変える気配は無く、それどころか厭きれたように耳を掻きながら、明後日の方向を眺めている。

「ウルキオラが書いてくれた・・のに」
「ああ?ウルキオラだと!?」

ぐずぐずと涙ぐむから、今もっとも聞きたく無い者の名を出された事に表情が一変する。

『ウルキオラー!!』
「うお!バカ、やめろガキ!!」

大声で泣き叫ぶの口を手で押さえ、脇に抱え込んだグリムジョーはキョロキョロと周りを見渡す。
犬か何かの様に脇に抱えられたは激しく講義し、今もウルキオラの名前を叫び続けている。
グリムジョーはこの僅かな手掛かりから、とウルキオラに何かしらの理由から、信頼関係が構成されて居る事を的確に読み取り、
自分の置かれた状況の悪さに血の気が引くのを感じた。


「・・・・・何をしているんだ?グリムジョー」
「ムルキイ!!」
「痛!」
「ウルキオラ〜〜〜!」
「大丈夫か??」
「大丈夫ー」

グリムジョーの腕から開放された(噛み付いた)が一目散にウルキオラの元に駆け寄ると、ウルキオラが膝を折っての体を抱きとめる。
を腕に座らせるようにして抱き上げると、に向けた優しい表情とは真逆の冷淡な視線をグリムジョーに向ける。
だが、その程度の事で大人しく引き下がるような性格ではないグリムジョーは、挑戦的な視線をウルキオラに返すという、正に一触即発の状況を作り出した。
その緊迫した空気を破ったのは、意外にも原因となっただった。


「ウルキオラ。この人、グリムジョーだって言ってたよ」
「指差すんじゃねえよ」
「バレたから、もう遊んで貰えるの?」
「無視かよ!ってか、何で遊ぶんだよ俺が!」
「え?藍染様が遊んで貰いなさいって・・・・・言ったんだよね?」
「・・・そうだな」
「はあ?マジかよ」

いつの間にやらニコニコと笑みを浮かべたに、ウルキオラとグリムジョーもつられて薄っすらとだが笑みを浮かべていた。

水と油のように決して互いに近づこうとしなかった二人が、を挟んで談笑していると、に飴玉を持って来たデイ・ロイを筆頭に
野次馬に集まった破面数体と、藍染達が盗み見ていたのを3人が知ったのは、次の日の事だったと言う。



何だかんだと、の無邪気なペースに巻き込まれたグリムジョーは、に手を引かれウルキオラと共に砂遊び場に連れて行かれた。

の小さな手に引かれたウルキオラとグリムジョーが意外にも同じ事を考えて居たとも知らずに、は笑顔を絶やさなかった。


『何で、ウルキオラの時のほうが嬉しそうに笑ってんだよコイツ』

『俺よりもグリムジョーの時のほうが嬉しそうだな・・・・』


にとって2人は同じぐらい大切だったのだが、それぞれに向けられる笑みをどうしても比較してしまうグリムジョーとウルキオラなのであった。



『『なんか、ムカつく』』



水と油が混じるのには、が必要なようです。











あとがき

連載を書かずに、がりがりと浮かんできます破面夢!
ほのぼのと、楽しく遊んで頂きます破面夢!!
性格と話し方が嘘っぱちで御免なさい(土下座)

最後の、相手に向けられる笑顔の方が可愛く見えると言う事が書きたかっただけです(笑顔)
すみません、夢見がちで(笑)


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えへへへへ。灰姫様からいただきました、破面夢でした。
もう、尊敬尊敬なのですよ!


浩加