『Snow Song』


ちっくしょう!




あたしの脳内は、その一言でいっぱいだった。
よりにもよって。


よりにもよって…、隊長の誕生日の日に風邪を引くなんて…!
しかも、長引くに長引いて…。


今日はクリスマスイブじゃない!




プレゼントせっかく両方準備したのに。
一世一代の告白予定だったのに。

半ば駆け込むように執務室にたどり着いたら、珍しく副隊長が席に着いている。
その代わり、隊長がいない。


「おはようございます!」
「あ、おはよう、風邪大丈夫なの?」
「はい。ご迷惑おかけしました。あの…」
「そいつは何もしてない。」


いきなり後ろから現れた隊長。
…!後ろに隠していたプレゼント袋を見られた…!

「なんだ、までクリスマス気分か」
「ほらぁ…!解放してくださいよ〜」
「その書類が終わったらな」
「…あたしかわりにやりましょうか?」


実際、ちょっと副隊長にいていただくのは…と思っていたあたしには好都合。
隊長の傍にいられるなら何だってしますよ!


「ほんと?!やった!じゃ、隊長、、後よろしくお願いしま〜す」


隊長に口を挟む間を与えずに立ち去る途中、副隊長が耳元に、頑張ってね、の一言を残していった。
…ううう、見抜かれてる。


「…………おい、。あの馬鹿をこれ以上甘やかすな」
「いいじゃないですか。クリスマスイブなんですし」
「……あれはいつもだろうが。で、それはどうしたんだ?」
「え、えっと……。とりあえず、これ、急ぎもありますよね…?」
「…あぁ、一応な」


思わずごまかしてしまった。
この期に及んで恥ずかしがってどうする!
で、でも書類は、うん。やらなきゃね。


書類を間違えない程度に大急ぎで仕上げて、隊長に提出する。
一緒に、もっていた包み二つを、机に置いて。
いぶかしげな表情で、書類を確認してから、包みを示す隊長。

「…なんだ、?」
「えと、誕生日プレゼントと、クリスマスプレゼントです…」
「………」


一気に眉間にしわがよった隊長。
うう、やっぱり迷惑だった……よね。


「あ、あのえと…」
「開けていいのか」
「え、あ、はい」


内心びっくりしながらも、正直に答えを返した。
目の前で、必死に編んでいたマフラーと、翡翠のオーナメントが出てくる。


「……へぇ…」
「あ、あの……」
「大事にする。ありがとな、
「い、いえそんな…!」
「…ところで、松本の頑張ってね、っていうのは何だ?コレのことか?」


げっ。
聞こえてたのね…!
あたしの驚きをどう解釈したのか、ふっ、と笑みをこぼして、包みを片付け始める隊長。


「……まぁ、それならちょっと…話がある。」
「…え…」
「…ココじゃなんだからな。執務が終わったら、後で行くところがある。一緒に来い」
「………は、はい。」


なんなんだろう、とは思ったものの
こういう時の隊長が、絶対に教えてくださらないのは分かっていたので
おとなしく自分の執務に戻った。










執務終了後。
無言でついてこい、っていう雰囲気を出してる隊長の後ろに付いて連れて行かれたのは
十番隊隊舎の、屋根の上だった。


「あ、あの、たいちょ……!」


何がしたいのかと声を掛けようとした瞬間、投げつけられたのは、マフラーだった。
変わりに、隊長の首にはあたしが編んだマフラー。


「…え、と」
「今から一気に寒くなるからつけておけ」
「へ…?!」
「氷輪丸、頼む」

現れた、隊長の斬魄刀の本体らしき方が、空を見上げた。
次の瞬間、降り注ぎだしたのは、雪。


「ホワイトクリスマス、って奴だな。つい最近から、総隊長の許可が出たんだ。
娯楽も必要じゃろう、ってな。」
「……そうだったんですか…」


すっと腰を降ろした隊長も空を見上げる。
あたしは、少し離れて腰を下ろした。


「雪の歌を聞くには、ココが一番だ」
「雪の、歌…?」
「音がなくなるだろう?雪が降ってると。」
「………はい。」
「ここが一番このあたりで静かなんだ。降らせた後は、いつもここで過ごす。」
「いいですね…。でも、あたしに…」


不安げな声に、くっ、と笑いをこぼして、あたしに目線を合わせた。

「クリスマスプレゼント。せっかくもらったんだ。お返しは必要だろう?
ちなみに、毎年決定だ………。お前が俺の傍にいる限りは。」
「…………!!!!」
「……まぁ、ほんとは追い越してから言うつもりだったんだがな。……まぁいいだろう。
…俺はお前が…好きだ。」


静かな静かな雪の歌の中。
降りてきた最大のプレゼントは、好きな人からの愛の歌。



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
ひいい、イブぎりぎりでした…。12月31日までフリーとします〜〜。

どぞ、よければおもちかえりくださりませ。


来年もどうぞよろしくお願いします!

フリー配布は終了しています。

12月24日脱稿